平成24年度税制改正大綱閣議決定

名古屋税理士政治連盟 会長 和田 義弘

【平成24年度税制改正大綱 閣議決定】
 政府税制調査会(会長=藤井裕久)は平成23年12月10日(土)未明、「平成24年度税制改正大綱」を決定した。政府は来年の通常国会に関連法案を提出する。政府と民主党の調整が難航し、決定が未明までずれ込む異例の展開となったが、消費増税を盛り込んだ「社会保障と税の一体改革」の議論を控え、大きな税制項目の検討を回避したため、小幅な改正にとどまった。

 税制調査会は、一昨年の政権交代以降、我が国の経済・社会の構造変化を踏まえながら、「公平・透明・納得」の三原則をはじめ、平成22年度税制改正大綱で示した①納税者の立場に立ち「公平・透明・納得」の税制を築くこと、②「支え合い」のために必要な費用を分かち合うこと、③税制改革と社会保障制度改革を一体的にとらえること、④グローバル化に対応できる税制を考えること、⑤地域主権改革を推進するための税制を構築することの「5つの視点」に立って税制改革を検討し、以下の基本的な考え方を示した。

(1)新成長戦略実現に向けた税制措置
 歴史的な水準の円高に対処し、産業空洞化を防止し、国内雇用を維持していくことが急務となっています。また、「新成長戦略」(平成22年6月18日閣議決定)の実現に向け、環境分野等、我が国が強みを有し、今後一層重要性の高まる分野における需要創出・技術革新の促進等を通じて、成長力を強化し、震災からの復興と日本の再生につなげていくことが必要です。

 こうした政策目的を実現するためには、様々な政策手段を総合的に組み合わせていくことが必要ですが、税制もまた、主要な政策手段のひとつとして、適切に活用していくことが求められます。こうした観点から、平成24年度税制改正において、自動車重量税の「当分の間税率」に係る税負担を軽減することと併せて、エコカー減税の継続、特に環境性能に優れた自動車に対する軽減措置の拡充などを実施します。研究開発税制の上乗せ特例の継続、再生可能エネルギー投資を加速させるための環境関連投資促進税制の拡充などを実施します。

 また、雇用の大半を担う中小企業を引き続き支援するため、中小企業投資促進税制の拡充・延長等を行います。更に、高齢者の保有資産の若年世代への早期移転促進や、省エネルギー・耐震性向上に資する良質な住宅ストックの形成を図る観点から、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置を拡充・延長します。
(2)税制の公平性確保と課税の適正化に向けた取組み・「ふるい」に基づく租税特別措置等の見直し
 税制抜本改革に取り組むに際し、税制への国民の信頼を確保することはこれまでにも増して重要となっています。税体系を見直し、課税原則からみた「ゆがみ」を正すとともに、国際的整合性等にも配慮していくことが必要です。とりわけ、租税特別措置や政策的な税負担軽減措置等は、「公平性」という基本原則の例外となるものであり、時代の変化も踏まえながら不断に見直していく必要があります。こうした観点から、
・背景にある政策の今日的な「合理性」、
・政策目的に向けた手段としての「有効性」、
・補助金等他の政策手段と比しての「相当性」、
による見直しの方針(「ふるい」)に基づいて見直しを進めており、平成24年度税制改正においては、特に有効性の観点から精査したところです。

 また、総務省行政評価局が、各省庁の行う租税特別措置等に係る政策評価について十分な説明が行われているかとの観点から点検を行っています。今後、租特透明化法に基づき提供される、租税特別措置の適用状況等に関する情報等も活用しながら、引き続き租税特別措置等の見直しを進めていきます。

 また、国際的な徴収共助や国外財産の把握等に関する制度整備を行い、グローバル化が進む中での課税・徴収の適正化に取り組みます。納税環境整備については、平成23年度税制改正において、納税者の立場に立って、税務調査手続の明確化等の国税通則法及び地方税法の改正を実施したところです。今後、納税者権利憲章をはじめ残された諸課題について、社会保障・税に関わる共通番号制度の導入も展望しながら、引き続き検討を行っていきます。
(3)地方税の充実と住民自治の確立に向けた地方税制度改革
 地域主権改革を推進する中で、地方がその役割を十分に果たすため、地方税を充実し、税源の偏在性が少なく、税収が安定的な地方税体系を構築していきます。平成24年度税制改正においては、地域決定型地方税制特例措置(通称:わがまち特例)の導入や税負担軽減措置等の見直しを行います。引き続き、地方税制度を「自主的な判断」と「執行の責任」を拡大する方向で抜本的に改革していくこととし、成案を得たものから速やかに実施します。
(4)平成23年度税制改正における積残し事項への対応
 社会保障の機能強化と財政健全化を同時に達成するとともに、経済・社会構造と環境の変化に対応した税制を構築するため、所得課税、法人課税、消費課税、資産課税の全般にわたる税制抜本改革の検討を進めています。

 平成23年度税制改正においては、こうした税制抜本改革の方向性に沿って、特に先行して措置すべき事項について、改正案を盛り込んでいたところですが、国会における審議の結果、法人税率の引下げ等については実現したものの、その他の事項については見送られることとなりました。

 平成23年度税制改正における積残し事項については、基本的に税制抜本改革の一環として検討していきますが、課税の適正化等の観点から特に緊要な事項については、平成24年度における厳しい財政事情も踏まえつつ、平成24年度税制改正において対応することとします。こうした観点から、給与所得控除に上限を設けるなどの見直しを行います。

 また、地球温暖化問題という人類共通の課題に取り組み、住みやすい環境を将来世代に残していくため、平成24年度税制改正において、地球温暖化対策のための税を導入します。